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投稿記事
奈良市にある大正時代に建てられた住宅のリノベーション。建物は主に借家として用いられ、何度かの増改築を経て空き家になり放置されていました。雨漏りや蟻害によって柱・梁や土壁が深刻な被害を受けており、庭に増築された水廻りと伸び放題の樹木によって鬱蒼とした状況でした。建替えも検討しましたが、3面道路後退の影響で同規模の建物が建たないことや、お施主様が町屋に住みたいという強いご希望をお持ちだったことからリノベーションを選択しました。しかし土壁を耐震補強し伝統構法で修復するためには新築を超える時間や費用が必要です。また家全体を断熱補強・高気密化すると屋内と屋外が緩やかに繋がった町屋らしい雰囲気も壊れてしまいます。そのためコンパクトな居間を家の中心に据えて現代的な工法で耐震補強・断熱補強を行ない、その周りを玄関・収納・ガレージ・縁側・トイレ・書庫・階段から成る半屋外の「透き間」で囲んだ入れ子状の間取りとすることで、コストを押さえつつ、屋内・半屋内・屋外の3つの領域が重なり響きあうような、町家の雰囲気を引き継いだ住まいを設計しました。
YYAA 山本嘉寛建築設計事務所 大阪府 建築家
- 木造二階建
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境界線の変化が開放感を生み出した家
東京西部に位置するその住宅は、道路を挟んだ向かいに公営団地の緑地を臨む立地にある。 鉄骨梁を組み入れた木造軸組構造で頑丈につくられた、築35年木造住宅の改築である。 将来的に家族の人数が変わることを見据えたうえで、間仕切りを減らした開放的な空間にしたいというのが施主の希望だった。 第一種低層住居専用地域という住みやすい環境でありながら、幹線道路沿いに位置し近隣との距離も近く、圧迫感を感じやすい立地だった。そのまま住むには閉塞感がありすぎた為、解決策として内と外の境界を平面のレイヤー状に再構築した。 道路側の高塀を無くし、代わりに樹木を植えて縁側を設置。 境界線を引き直すことで圧迫感を排除し、外に開きながらも道路からの視線をカットしている。 元々使われていた木下地や銅縁、ベニヤなど使えるものは残しつつ新たな息吹を吹き込んだ。 既存と新設を併用することで風の抜けや緑をより近くに感じられる家になり、以前よりも奥深い住環境を手に入れることができた。
風景を切りとる多面体の家
まるでアート作品を想起させるような、エッジの効いた佇まい。 施主のセカンドハウスとして建てられた木造二階建は、眼前には東京湾、背後には崖という自然に満たされた環境にある。海風や日光に晒される環境の中で永続しうる建物を考えた結果、堅い殻をまとった巻貝のような形状になった。 三角形の連続で形づくられた構造は、折り紙のように立体的でほぼ直線で構成されている。 その中で特殊な存在となるのが、入ってすぐの大きな円柱とダイニングキッチン。 二つの曲線がアクセントとなり、居住スペースの印象を柔らかくする。 南から西にかけて二面にひらけたリビングの開口部からは、壮大な地平線を望むことができる。 見る場所や時間によって表情豊かになるパノラマは、この素晴らしいロケーションと特徴的な構造体だからこそ成せる技。外殻に守られながらも外にも広がるこの住まいは、安心感と自然との一体感が共存する理想の週末住居となる。
株式会社 廣部剛司建築研究所 神奈川県 建築家