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投稿記事
天井や壁に用いた曲線形、あえて上部をつなげた間仕切り壁、壁から天井まで一体となった厚みのある左官のテクスチャー、これらのエレメントが組み合わさり、障子窓からのやわらかい光が、はっとするような陰翳のグラデーションを生み出す空間になりました。
53㎡というコンパクトな面積ながら、曲線によってシームレスで繋がる壁と天井に、間仕切壁の上部から回り込む光が、空間に奥行きをあたえています。
一面バルコニーの住戸のため一方向のみからの採光ですが、室内に充ちる光の表情はとても豊かで、意図しなかったたくさんの景色や発見があり、見ていて飽きません。
マンション共用部となる窓には手を加えられず既存のままですが、開口を設計できる新築案件以上に光や風景がデザインされるという逆説的な結果は、今後にインスピレーションを与えるような新たな発見でもありました。
株式会社アオイデザイン aoydesign 神奈川県 建築家
- 平屋建て
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古民家から学んだ、おおらかな空間の住まい
緑の多い街並みが眼下に広がる敷地に建てられたのは、夫婦と子供2人が暮らす、平屋建てで大屋根の住まい。 建主の希望にそえるプランとして考え出されたのは、天井が高く、越屋根や高窓から光や風を住まいに利用できる、「古民家」の発想。 おおらかな雰囲気に包まれた住まいにすることで、そこに人が集い、生活の変化に順応しながら、家族が長く豊かに暮らしていけると考えた。 白と黒を基調としてつくられた、リビング、ダイニング、キッチンがひとつとなった、広く開放感あふれる空間。 そこに降り注ぐ高窓からの光が、より一層、室内におだやかで温かみのある時間をつくりだしてくれる。 キッチンと一体化になったテーブルは、作業スペースや来客時のテーブルとしても活用でき、調理をしながら、子供たちが勉強する様子もうかがえる。 また、キッチンの背面は引き戸になっている“隠せる”収納スペースになっており、空間の統一性を保ち、いい意味で生活感のない日常の風景を与えてくれる。 夏の厳しい日差しもカットする、奥行きのある軒下はテラスになっており、家族の憩いの場。 ハンモックを吊るして、子供たちの遊び場に。 置いてある椅子に座れば、四季折々の風景をゆったりと眺めることができ、それは雨の日でも楽しい日課になっている。 端正にすっきりと整えられた室内には、外からの光と風が行き渡り、そこには自然と人が集まる、他にはない少しだけプレミアムな空間が広がる。 建主の希望を叶えた住まいは、日本家屋の温故知新を感じさせ、ダイナミックな存在感を醸し出している。
志柿敦啓建築設計事務所 大阪府 建築家
家族の将来を見据て架けた、ねじれ屋根の家
80年代に整備された千葉県柏市のニュータウン。 その一画に、子世代が家を離れた夫婦のために建替えられた住宅がある。 夫婦が老後を楽しむための住まいと考えると、平屋の住宅が望ましい。 しかし、来客用の部屋や、将来的に子供たちが住み継ぐことなども考慮すると、家族構成の変化に対応できる住まいづくりが必要になる。 そのため、平屋建てながらたっぷりと気積をもった高い屋根を架け、予備室として使用できるスペースを小屋裏に設けることで、室内に開放的で個性的な空間を生み出すことができた。 この住宅の最大の特徴は、連続的に形状が変化する、棟木をもつねじれた切妻屋根。 遊歩道に面した東側は低く、道路に面した西側に向って徐々に高くなっており、その存在感は住宅地の中でも堂々たる構え。 北側の屋根面全体がねじれているため、湾曲した天井によって小屋裏は有効に使えるようになっており、ガラス屋根やドーマー窓、換気のためのハト小屋を設けるなど、室内に多く光を取入れたり、風が抜けていく工夫もされている。 サンルーム玄関のある南側には大きな窓と縁側を設け、屋内と庭がつながっているような一体感のある広がりを感じられる。 また、菜園やぶどう棚がある庭は、遊歩道と道路の間をつなぐ、小さな公園のような佇まいを醸し出し、どこか素朴な時をうかがえる。 過不足なくコンパクトにつくられた地上階と、その上に広がるまがり屋根によって生まれた空間が、家と、そこに暮らす家族の将来に、同じ場所に長く住み続ける楽しみをつくりだしてくれる。